【ひと言紹介】
・2005年、日経新聞『私の履歴書』にドラッカーが。著者はその連載を読んでいて、ドラッカーとトヨタ式経営とのつながりに気づく。
・『現代の経営』に代表されるドラッカーの著書に記された一つ一つの教えと、トヨタの組織文化は非常に合い通じるものが多く、その一つ一つを丁寧に検証的に紹介している。
・35年に制定された精神的支柱たる“トヨタ基本綱領”と、理論的支柱たる“ドラッカー理論”、“TPS”。
この両輪によってトヨタはカイゼンを重ね続け、結果として“世界一”にまでなったのではないか、と著者は洞察する。
【抜粋】
・ドラッカー曰く、
「経営者としての要諦は“自らと部下に厳しく”」と。
また「仕事についての高い基準の要求ほど、仕事の改善に挑戦させる上で効果的なものはなく、仕事と自己実現の誇りをもたらすものはない」と。
→昭和20年代後半、初代社長の豊田喜一郎は「3年でGMに追いつけ」と檄を飛ばしていた。
高い目標を掲げること、自らと部下に厳しいこと、そうしたトヨタの組織文化は創業時から脈々と続いてきている。
・1943年、ドラッカーはGMにコンサルタントとして招聘された。
ドラッカーが行った1年半の綿密な社内調査の集大成としての著作『企業とは何か』はスローンの機嫌を損ねた。
・ドラッカーは、スローンの後継社長で後の大統領ウィルソンからも厚遇され、47年、GM内で大々的なモラルサーベーイを実施。
→このサーベイで分かったことは「従業員は製品や会社との一体感を求め仕事や品質に責任を持ちたがっている」ということ。
・上の調査結果はUAWからの猛反対によって、報告書にまとまらずお蔵入りになってしまう。
→数年後、この調査結果と知見はドラッカー自身の協力によってトヨタへ持ち込まれた。
→この事実はトヨタが“創意工夫提案制度”を51年にスタートさせていることとも符合する。
→“終身雇用”はもちろん“労使協調”といったトヨタの雇用政策に活かされた、と。
・06年、クレアモント大学から名誉博士号を授与さえた豊田章一郎氏が答辞として返した興味深い声明文を紹介。
以下はその答辞から。
「『ものつくり大学』の教員の中には、ドラッカー教授が日本でのご自身の分身と呼んだ上田教授がいる。またトヨタの生産調査部部長もいる。
上田教授はドラッカー理論を教え、生産調査部-部長教授はTPSを教えている。
その上田教授がトヨタの部長教授に“トヨタのやってることはドラッカーさんの言ってることばかりですね”と。
するとトヨタの部長教授は“トヨタでやってることを説明し切れないとき、ドラッカーを読むとそこに書いてあるんですよね”と」
【所感・解釈】
・部外者が評論してよく言う謂いに「トヨタは“
当たり前のことを当たり前に”やってるだけ」というものがある。
実際、私自身もこの謂いをトヨタマンの友人から何回か聞いたことがある。
・一方、『
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』がヒットした。
こうしたドラッカーの大衆化の中で耳にする謂いに、
「ドラッカーは“当たり前のことを言っている”だけだ」というものがある。
・上の二つの“当たり前”論こそ、ドラッカーとトヨタ経営・トヨタ文化の共通点の証左ではないのか。
・世界何十カ国で何十万人もの従業員が“当たり前のことを当たり前に”実践しているということ、
このことがトヨタの凄さの核心と言える。
・また21世紀の今だから、耳学問であれこれ勉強できてきた我々だから、
“当たり前”と言ってしまえる経営管理の要諦を、
平易な言葉で淡々と、半世紀以上も前に語り切っていることが、
ドラッカーの凄さの核心と言える。
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